2006/9/29 (3)

人通りはあまりないが、お昼の時間帯なので、通り沿いのカフェには人がたくさんいる。
お洒落げな日本料理のお店が途中にあって、満席に近い雰囲気だった。テラス席で食べている人もいて、チラッと見たら松花堂弁当みたいな感じでなかなか…。高そうだったけど。
それにしても皆さん普通にお昼からお酒を召し上がっておられるようだ。すごいなー。平日なのになー。

やがて、前方がやや開けて橋が見える。
高いビルが少なくて全体的に見通しがよく、目当ての建物なんかが遠くの方に容易に確認できるのであまり感じないが、ここまででも結構な距離を歩いているはず。だがこのお散歩はまだまだこんなものではおさまらないのだった。

アルマ橋付近まで行くとエッフェル塔が見えた。夜が綺麗だと聞いていたのだが、今回は残念ながら見ることは叶わず。

右前方はるか遠くにオルセー美術館が見える。このお散歩は「オルセーに行こう」という目的のもとに始まっているので、まあ、あそこまで行くんだね、と思う。


オルセーまでどう行くかという手段について珍子馬さんと話し合った記憶はないのだが、「セーヌ側沿いに歩いてみようよ」という話はした記憶があるので、この段階ではこれを実行している状況。

川沿いの、舗装されていない道に入る。入ったとたんとっても犬臭い。とくに何もないのでさくさく進む。左手に大きな建物がいくつか見えているので、あれは何かね、とか、あの橋はどれかね、とか地図を見ながら進んでいく。
アンヴァリッド橋を通り過ぎ、アレクサンドル3世橋を見ながら、「あれを渡ってあっちの建物見てみよう」ということに。


それにしても普通に歩いているだけで観光名所的なものがあちらからやってくるような錯覚。パリって本当に、見るものがたくさんあるんだなー、と思う。観光にはそれほど興味がなかったのに、気付けば「あれはなんだ?」ときょろきょろしてしまっている私。
心構えがなっておらずあまりに不勉強すぎて、グラン・パレとプチ・パレとわかってもそれがなんなのかさっぱり(今はわかってますけども)。

橋のこちら側にも立派な建物があって、それがアンヴァリッドだった。ということも、それがなんなのかということも、帰国後に確認している有様。まったくのダメ旅行者。パリに申し訳ない…。(凱旋門賞のことで頭がいっぱいだったのでゆるしてください)

左岸には戻らず、そのまま右岸をルーブル方向にてくてく歩く。風が多少強かったけれども心地よく、なんともいえずいいお散歩コースだった。お天気なのが第一条件だとは思うけれども。
周囲の木々はうっすらと染まり始め、日差しは強いけれどどこか秋の面持ち。残暑と初秋を行ったり来たりといったところだろうか。
私は日本から着てきたそのままの服装だったので、半そでに薄手のニットカーディガン、ジーンズにブーツという出で立ちだったのだが、日中はちょっと暑いな、と感じたが、空気がからっとしているのでとても過ごしやすい。日本でこれだけの日差しの中を歩いたら(すでに相当な距離を歩いている)、きっと汗みずくになっていることだろう。


途中でコンコルド広場をやや遠目に見て、オベリスクを確認。見ただけ。反対側にはブルボン宮。これも見ただけ。
川沿いの風景はとても美しく、木々の向うの自動車の流れすらなんだかいい雰囲気。その向うに見える建物も、なんだかわからないけどかっこいい。あの時は何にもわかっていなかったけれど、多分道の向こうにはオランジュリー美術館があったと思われる。カオルコにフランスはもったいなすぎだと思う瞬間。
ルーブルが近くに迫ってきたあたりで、いったん川の近くにおりて、対岸のオルセーを眺める。
下側から登って芸術橋を渡る。橋の上にはベンチもあって、人がたくさんいて、公園で過ごすみたいにのんびりしている。欄干の下に座り込んでいる人も多数。そういう場所なんだね。

というわけでようやくオルセー美術館に到着。時間はだいたい14時くらいだったかな。お昼を食べ終わってから延々歩き続けてこの時間です。
オルセーに行きたいと言ってたのは珍子馬さんで、以前来たときに見たニジンスキーのなんか(すません、よくわかんなくって)が一応お目当てだったのだけど、結局それは無かった模様。
入場料は7.5ユーロ。チケットを買って入口に向かうと、ドアの係と思しき黒人男性が「日本人?こんばんは」と声をかけてきたので、「こんにちはー」と二人で声を合わせて答える。だって2時だからね。男性はこんばんはとこんにちはの区別が不確かだったようで、「ボンジュール、こんばんは?」と聞いてきたので「ボンジュール、こんにちは。ボンソワ、こんばんは」と言うと、おー、と言って復唱していた。ついでに「メルシー、ありがとう」を復唱しあいつつ、入場。

私は絵のことは全くといっていいほどわからないので、眺めて「ほー、」と思うだけなのだが、それでも十分楽しいし、なんといっても美術館は広くて静かなのがいいな。そこで人の作ったものをただ眺めるというその行為自体はとても好きだ、と思う。たらたらと絵を見物する。名画と私、的な記念撮影をしている人が時々いる。見た記念なんだろうね。でもちょっと証拠写真ぽいなーと意地悪く思ってしまった。
学校の美術の時間に習ったような絵もちらほらあって、まあすごいわねえ、と思いながらぐるぐる回る。ドガの「踊り子」を見て、あー、これ初めて知ったの悪魔の花嫁でだったなあ、とか思う(浅すぎる)。そんな感じで、時々座って眺めたりしながらほぼひととおりは見て回ったかな、という頃、上階の屋外テラスに出てみる。遠くに見える町並みを眺めながらしばし休憩。
壁沿いにあるベンチの端っこに腰掛けてぼうっとする。風がとても気持いい。珍子馬さんは離れた所で煙草休憩中。ひとりでぼーっとしていると眠くなってくる。さすがにちょっと疲れている自覚あり。
すると、隣に座っていたご婦人が私に向かって、自分の手首あたりを差す仕種をして見せたので、「あー、時間ね」と思って、時計を見せて、直後、とんでもなく無意味なことに気付く。
「あー、ごめんなさい…えー、じゃ、じゃぱにーずたいむ…」と恥じ入りながら告げるとご婦人は笑って、逆側の隣の人に時間を尋ねていた。すみません、常にアホで。ずっとマイナス7時間ならぬプラス5時間で現在時間を確認していたのだが、こんなこともあるのか、と、後になってから時計を直した。この時点で15時半くらいだっただろうか。下のカフェでお茶でも飲みましょう、と珍子馬さんと移動。
私は冷たいカフェオレを頼み、珍子馬さんはアイスコーヒーを頼んだ。カフェオレは牛乳のおかげか多少冷たかったが、アイスコーヒーはあんまりだった様子。冷たい飲み物に氷を入れるという概念はないんだろうかと二人で疑問に思う。疲れてたので喉がカラカラだったのだ。でもこちらではアイスオレとか、もともとは存在しないらしい?よく知らないが。

下りながら彫刻を見たり(ロダン怖いとひたすら言っていた記憶あり)しつつ、オルセーを出たのは多分もう17時近かったんじゃなかろうか。
珍子馬さんの街歩き用のバッグを探そう、ということになり、なんとなくサンジェルマン・デプレ方面を目指す。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。