カテゴリー : 3日目

2006/9/30 (2)

城を出たところで時間を見て、この時点でシュノンソー城は諦めましょうという事になり、わりと近くにあるシュヴェルニー城へ向かう。

ここのお城はとっても趣味の良い館、という印象。庭もこぢんまりと品が良く、かわいらしい。ずどーん、どかーん、という感じだったシャンボール城とは全然趣が違う。


シャンボール城とセットでまわる人が多いのだろう、小さくて、多分城としては地味なほうだろうに、観光客は多い。
ここでも写真を撮るという発想の全くなかった私はやはり一枚も中の写真を撮っていない…。レポを書く気があったのだから少しくらい気にかけておくべきだった。
家族で暮らす家、という感じで、お部屋もかわいらしくって、それぞれとても居心地が良さそう。

パンフレットを見ていた鳩子さんから、「9月15日までだったら面白い犬の食事が見れたらしいよ」というような発言があり、その“面白い”はどこにかかるのかイマイチよくわからないね、と言っていたら、あとになってその食事の風景を見ることが出来た。

最初、広場の中央に餌がばらっと山に置かれ(皮を剥いただけの鳥や、ドッグフードらしかった)、その匂いに、右手の建物の中から犬達の悲痛な叫び声。「出せーここから出せー扉開けろー」と吼えまくる。いつ扉が開くのかなーと待っていたら、なぜか左手の塀の向こう側からどどどど、と犬の群れがやってきて、とたんに餌に群がった。30匹位いただろうか?
犬達はそれぞれの頭や身体をかきわけながらひたすら餌に突入していく。要領のいいこは大きいのを咥えると早々にはじっこにいってむしゃむしゃ食べていたりする。右側の建物の犬達はまだお預け状態。
そのうちにそちらの扉も開いて、犬の数は倍になり、さらに混沌とした状況に。


面白い、は食事風景にかかっていたんだね、と納得。ようやくお食事が終わった頃、雷がごろごろ、と鳴って、犬達がいっせいにびくっとなって吠え出したのがおかしかった。かわいい。
…などとのんきにいっている場合でもなく、すぐに大粒の雨が降ってきた。ちなみにカオルコはこの日も「今日は車だしいらないわね」と傘を置いてきていた。本当に使えない。

車に戻り、さて帰りましょうか、と出発。雨はすぐに上がり、日も差して来ている。時間は17時くらい。帰りは高速をつかうのでがんばって早く着いて、パリに出てご飯を食べようと話していたのだったが、なかなかそううまくはいかないわけで。

もう記憶はかなり曖昧だが、途中で道を外れたり町の中に入ってぐるぐるしたり反対方向に走ったりしながら、空港についたのは20時から21時の間くらいだっただろうか。暗くなって地図は読めなくなるし、鳩子さんもお疲れで、よたよたとどうにかついたものの、なかなか大変だった。結局ご飯はあきらめ、到着後解散。
このあと私と珍子馬さんは再びRERに乗って北駅に向かったのだが、途中で20分くらい電車が止まったりして、北駅についたらもう10時近く、私はご飯を食べる気力もなくてお風呂に入って日記を書いているあたりで本気の限界がきて、今こうして読み返すとその疲れっぷりが良くわかる。字を書いている途中で何度も寝てしまっている有様。

明日はいよいよメインイベントなので、ちゃんと寝ておかなくては。

2006/9/30 (1)

早朝5時半。携帯のアラームで目覚める。まだ窓の外は暗い。もそもそと起き出し、とりあえず着替えて準備。朝着の便で到着する鳩子さんとは空港で7時半に合流予定なので、余裕を見て、ホテルを6時半には出たい。
今日はレンタカーでロワール地方に行き、お城を見る予定。鳩子さんが運転してくれると言うので、お言葉に甘えることにしたのだった。

ホテルを出る頃には空が明るくなってきていた。北駅まで歩く。
切符売り場に到着するも、カオルコ、また小銭がない。クレジットカードで買ってみよかとやってみたが、なんだかうまくいかない。どうせ今日買わなければいけないんだし、と「パリチュルフ」という競馬専門誌を買って小銭を作ることにする。
近くにあったキオスクに行くとそこには置かれておらず、レジの女性に訊ねると上の階の店でしか売っていないと教えてくれた。めるしー、と言って、上に戻る。
北駅に入ってすぐのあたりはTGVの発着ホームで、小さなカフェやショップがたくさんある。本や新聞をたくさん置いている店で目当ての新聞を見つけた。10ユーロ紙幣を出し、おつりをコインでお願い、と言うと、レジのお嬢さんは、「まったくもう!」という雰囲気も顕わに、最初に出した5ユーロ紙幣をしまって、小銭に替えてくれた。ご面倒をおかけして申し訳ない。再び下りエスカレーターに向かう。

前日の教訓を忘れず改札をちゃんとくぐらねば、と思っていたら、自動改札の機械が新しく設置されていた。回転バーのものではなく、開閉式のもの。だがまだ上半分がシートで覆われていて稼動していない。気にせずそのまま素通りする。
ホームに下りると、凱旋門賞のかっこいいポスターが貼られていてなんだかわくわくする。自分のカメラで写真を撮るのを失念していた。失敗。
最初に来た電車は行き先が違っていたので、2本目に乗車。待ち合わせには十分間に合う時間。

ちょっと懲りたので、空港に到着すると昨日利用した両替機に早速向かった。おかげでこれ以降小銭には困らなかった。

鳩子さんとの待ち合わせはターミナル2の真ん中あたり。なのに、私達はぼんやりとあまり確かめずターミナル1に向かってしまった。ここらへんから、「どうもなぜか常に逆を選択してしまうようだ」と二人で認識しあう。おかげでせっかく余裕を持って到着したのに、5分ほどお待たせしてしまった。
まあでも、無事に会えてよかった。鳩子さんは金曜夜終業後、エールフランスの直行便でやってきたのだった。とてもハードなスケジュールだ。大変だなー、と暢気に思っていたのだが、本当に大変だった…。

同じフロアにあったショップで地図やお菓子、飲み物を購入し、私と珍子馬さんはすぐ横にあったカフェで朝ごはん。ホテルでの朝食はツアー料金に含まれていたのだが、朝早すぎて食べられなかったので。

準備を済ませて、さっそく車に乗り込む。一応助手席には私が座っていて、地図も私が開いていたのだが、見るのも聞くのもはじめての土地で、あちらの言葉で書かれた初めて見る地図でできることなど数字を追うことくらいなので、ひたすらフォンテーヌブローを経由してオルレアンに向かう道路で一番よさそうな物を探すことに専念。
今思えば、もうちょっと事前に地図を見る時間があったらよかった…。せめて自分でその地方の地図を眺めるくらいはしておくべきだった、と反省。

えっちらおっちら、という感じで(笑)、まずはフォンテーヌブロー方面へ。軌道に乗るまでに多少時間を要したものの、なんとか目的地へ向けて走り始める。

街を離れるととたんに田舎の景色が広がっている。畑、空、一本道。ゆるく上下するカーブを、色の違う緑が覆っている。
あちらにもこっとした森が見えたと思うと、こちらに建物が固まっている村がぽこっと現れるといった具合。山はほとんど無く、彼方から此方まで、雲の流れ行く道筋がはっきりと見える大きな空。

ときどき目にする道路脇に植えられた並木は、何という樹だったのかな。まあとにかく、何を見ても雰囲気があって、「あーこりゃ絵に描きたくもなるだろう」と乱暴に思ったりもする。題材には事欠かない気がする。

フォンテーヌブローの森を抜け、小さい村を幾つも走り抜けて、オルレアンを目指す。初めて経験するぐるぐる回る交差点はとても便利だとは思うが、体へのダメージが大きい気がする。とくに酔いやすい人には。
鳩子さんはまったく休憩をとらずノンストップだ。このあたり、珍子馬さんはダウンしていた。私も地図を見続けていたせいで珍しく少々車酔い。生あくびを連発。しかし、お昼までに目的地に到着したいという野望が、私達にはあった。


今回見ようと思っていた城は、シャンボール城、シュヴェルニー城、シュノンソー城の3つ。正直に言おう。私は今回の旅行を計画するまで、これらの城のことを、「名前を聞いたことがあったような気もするけどなんだっけ?」くらいのレベルでしか認識していなかった。ダメすぎる。世界遺産だというのに。

途中、街の中で迷ったり偶然に助けられたりしながら予定より1時間遅れでシャンボール城に到着。
木々の隙間に遠く見える城の塔、白い石壁、青い屋根。まさにTHE・城。東洋人がイメージする西洋の城ってこんなんだよね、とか適当なことを思う。


駐車場から城までの道筋にはいくつかのレストランやカフェ、それからホテルもあった。私達は最初に通りがかったレストランの外の席につき、ランチにありつく。お肉を食べた記憶。値段は覚えていない。
のんびり食べていたらにわか雨が降ってきたのでテーブルを動かしてパラソルの下に避難。雨は突然降って、突然やむ。

ご飯を食べたあと、お城の中をのんびりと見学した。素敵な寝室があった気がするんだけどなんでか中の写真が螺旋階段しかない。
もう今の時点ではだいぶ記憶があいまいだけど、広くて暗くて寒そうだった。長い年月をかけて建てられたお城なのだということは、中の展示でわかりました。