2006/9/29 (4)

サンジェルマン…。そこがどういうところか私たちイマイチ良くわかっているわけではないみたい。
「とりあえずお買い物できるんじゃないの?」程度。
国立美術学校の角を折れてとりあえず真っ直ぐ進んでみる。よくわからんなーと思いつつ適当に曲がったりして行ってみるとやがてサンジェルマン大通りにぶつかった。よさそうなお店はあるかしら~ときょろきょろしつつぶらぶら。
探してみるも、イマイチ、系統が違う。一応ガイドブックを持っていたので見てみるものの、やっぱりどうやら違う感じ。バッグが欲しいといっても街歩き用だから、かんたんな、安いのを探していたのだった。すいません、本当によくわかっていなくて。
教会を遠めに確認しつつ、移動した方が良さそうね、と再び川の方向を目指す。細い道に入っていってみると、なんだか楽しげなお店が賑やかに建ち並んでいる界隈に出た。食材店やお惣菜屋さん、小物を扱うようなお店もちらほら。ゆっくり眺めながら、のんびりと一応シテ島を目指して歩く。
そして、この頃だったかな。空模様が怪しくなり始めたのは。
カオルコ、ちゃんと折り畳み傘を日本から持ってきていたのに、そしてパリのお天気は油断がならないということは承知していたのに、傘はわざわざホテルに置いてきていた。使えない。

そのうち、通りがかりのアクセサリーや布製品を扱っているお店でお手ごろのショルダーバッグを見つけて、珍子馬さんご購入。見つかってよかった。

空が暗くなってきたと思ったら、ぽつぽつ雨が降り始めた。大降りにはならないので、気にせず歩くことにする。
美味しそうなお店がたくさんあって、なんとなくお腹もすいてきている。今思えばここでなんかご飯を食べておけばよかったのよ。なんでそうしなかったんだろ?

セーヌ川が再び見える頃には本格的に降り始めて、信号待ちの間書店の軒下で雨宿りしたりする羽目に。
しかしこれは本当にただの夕立だったらしく、一度ぱあっと降ってしまうと、じきに小止みになって、空が白っぽく明るみ始めた。
気温もやや下がって、ニットを着ているのでちょうどいい感じ。
目の前に架かる大きな橋を渡るとそこはシテ島。すぐ右側にノートルダム大聖堂が見えた。ちょうど鐘が鳴っていて、時計を見たら19時だった。

そろそろ薄く闇が下りてきて、視界も悪くなってきた。帰る算段をつけなきゃいけないかなーとぼんやり考えつつ、真っ直ぐ進み、橋を渡ってサンルイ島へ。
ここで、そういえば鳩子さんがあそこでアイスを食べて!と力強く語っていた事を思い出すも、お店の名前も場所もお互いうろ覚え。とりあえず橋を渡って一番最初に見えたアイス屋さんでアイスクリームを買った。うまい。十分うまいよ。
ちなみにそのアイスクリームのお店はベルティヨンだったと思うんだけど、当然ここはそのお店ではない。
アイスを舐めながらてくてく歩くと、前方の建物の壁が薄赤く染まっているのが見えた。珍子馬さんが「あれ!夕焼けじゃないですか!?」と言うので、ふたりで慌てて川を目指す。
建物にはさまれた細い路地を抜けて川沿いの道に出ると、右側が真っ赤に染まっていた。

橋の上、右側に夕焼け。 そして左側には虹が。

パリではそんなに珍しくないのかな。私は珍しくて嬉しかったのではしゃいでしまった。
夕日をバックに写真を撮っていると、刻一刻と日が落ちて闇が濃くなっていくのがわかる。このあとあっという間に夜になってしまった。だいたい20時くらい。

 

 

 

 

今こうして記憶を呼び起こしながら地図と照らし合わせていくと、あー、あそこにアレがあったのか、とか、ここに行けばこれがあったのに、とか、思うことがたくさんある。でも、そう思えるのがそもそもあのでたらめなお散歩のおかげなんだよね。ちなみにベルティヨンはこのとき夕焼けを見た橋から真っ直ぐサンルイ島に戻って一番最初の角にあったもよう。そんなもんだよ。

さて、暗くなってしまったのでもういい加減帰らないといけない。たしかシテ島から真っ直ぐホテル近くまで帰れるバスがあったはず、と、カオルコのうろ覚えの記憶を便りにバス停を探す。

85番のバス停はうまいぐあいに見つかった。本数はそれほど多くないのかな。よくわからない。しばらく待っていたらやってきたので、乗り込む。
後ろの方の席につくと、お若い男女の集団がいて、けたたましい声で喋りつづけている。アナウンスなんか全然聞こえない。乗客はバス停ごとに次々乗り込んできて、時間帯もあってか、なかなか混んでいる。
下りるバス停の名前も当然うろ覚え。たぶんこれだったと思うんだけど~、と思いながら外を眺める。サクレクール寺院が斜め横に見えたあたりで「たぶんこのへん」と下りてみる。
…うろ覚えすぎた。

結論からいうと、カオルコの覚えていたバス停の名前は下りたいバス停から2つ先のもので、頭の中の停留所付近の地図と現在地が全くかみ合わなかったので、ホテルにたどり着くまでに全然違う所をぐるぐるめぐる羽目になった。
疲れ果てているうえ、お腹もすいてるし、頭が働かない。時計を見るともう21時を回っている。クリニャンクールとかバルベスとかそういう地名が見えて、これが見えたらいかんのじゃないかなーということだけ辛うじてわかったのだけど、なんにせよもう暗いし、初めて通る道だし。ようやくこのあたりで私の頭に、あんまり治安の良くない場所だという事実がちらちら浮かんでくる。
通りの名前を確認しながら、うろうろしつつ、下りたバス停まで戻ったところで、カオルコようやく頭の中の地図と地形にピンときた。「とりあえず坂は下るべきだ…」と気付く。なんとかホテルに帰る道程が判明した。くたくた。一応事前に調べていたのだけど、肝心のメモはホテルの鞄の中なのだった。どうしようもない。

明るい大通りまで戻ったところで、適当なお店に入ってようやくご飯。カオルコもう眠くてへろへろ。
入ったはいいけど案の定メニューがさっぱりわからない。珍子馬さんとこうじゃない?ああじゃない?といいながら考えるも、もうなんだかなんでもいい気分になっている私。
そんなこんなで、珍子馬さんがお隣の席に座っていたカップルの男性がいない時に、女性に聞いてみたところ、彼女達はイタリアからきている旅行者だった事が判明。女性は伊仏か仏伊かわかんないけど豆辞書みたいなのを出して、「これよこれ」みたいな仕草をしてみせた。
とりあえず簡単なコースのセットがあって、それを頼むと良いよと教わる。それがあたりだったか外れだったかも教えてくれた。彼氏も気のいい感じの人でとってもお似合い。メルシーはグラッツェでありがとう、という話をすると、リガトーニ!パスタ!とありがとうにウケるイタリア人カップル。私と珍子馬さんは「アリガトーニ」っていうパスタがあるのかーとそのときは思ってた。
珍子馬さんは前菜にエスカルゴを頼む。なぜなら隣のカップルにすすめられたから。私もひとつ貰って食べた。初めて食べた。珍子馬さん、メインはなんだったっけ?
私はお魚を食べた。クリームソースのサーモンだったかな。お味は、まあまあ。こんなもんかな、と。

このあたりは記憶も不鮮明で申し訳ないのだが、アコーディオン弾きのおじさんがテーブルに弾きに来た。アコーディオンだったと思うんだけど…。わー。もう本気で忘れかけている。

そんなふうにして何とか食事を終え、よろよろと戻ってから書いた日記を参考にこれを書いているわけだが、最後の方はもういろいろ限界で記述があっさりでいろいろ足りていない。
なにせ、料理が出てくるのにものすごく時間がかかって、眠気と戦いながらの食事だったので!
お店を出たら日付が変わっていた。
ホテルに戻り、シャワーを浴びて、寝たのは多分1時半くらい。
翌日もとても早起きの予定。

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