chop note

１/14　BSプレミアム放送

BDを所持しており、昨年一度見たのだが、せっかくのテレビ放映だったので。

公開時にたぶん、５回鑑賞した。うち一回は、一緒に観た友達と、食事をとりつつ感想を話しあっていた勢いで翌日のチケットを取って二日連続で観た。

好きなところはたくさんあるし、細かく挙げればきりがないけれど、一番好きなのは、画面全体に漲る疾走感なのかもしれない。それを彩る音楽も最高に格好いい。

あまり制作サイドについてどうこう思ったりしない、というか、そういった知識がないので考えようがないというか、なのだが、この作品を観て以来、ジョージ・ミラーのことは大尊敬している。

1/10　池袋ヒューマックスシネマ

ひでさんとコパさんに誘ってもらったので出かけた。DVDで3かいくらい観ていたけど、映画館で観たのは初めて。すごく、すごく、素晴らしい出来のフルCGアニメだと思うし、クオリティ的にも過去の日本作品で最高レベルなんじゃないだろうかって思うんだけど、なにしろ一般的じゃないからな……。見る機会はなかなかないよね。

それにしてもニックス・ウリックの格好良さといったら……。彼が指輪の力を使ってあそこで果てたことが、ゲーム本編につながっていくわけだけど、ニックスはべつに王子のために戦ってるんじゃないからな。故郷の誇りにかけて、彼に与えられた仕事を全うしているんだ。そこに美学を感じたくはないし、ニックスもべつにそんなものを貫いたわけじゃないんだ。彼は、ただ守りたかったんだよね。何を護ると問われても知らねえよって答えそうなくらい、ただ、何もできずに目の前で何かを失うことだけはもう絶対に嫌で、それに必死で抵抗した、出来ることをなんでもやると決めた、その結果の戦いだったんだよなあ。

というぼんやりとした感想。大画面で見られて本当に良かったと思います。

https://eiga.com/movie/82988/

エディ・レッドメイン
アリシア・ビカンダー

録画して観た。
どちらにも感情移入で来るせいで見ているこちらも心が引き裂かれそうに辛い気持ちを味わった。
ゲルダのように行動できる女性が一体どれだけいるだろう。ましてや現代のようにそうした人の理解も知識もない。
ただ、大切な人に何かがおきて、その人の希望に寄り添う困難を選択できるこの優しさは、女性のものだなという気がする。のは、私が女の人だからかな……でもこういう事態に直面したとき、潔く決断できるのって女の人のような気がする。
ゲルダは夫を失ったけど、夫として愛した人を幸せにしてあげられたわけで、これも、夫婦の愛の形なのだと感じた。
何度か、胸が詰まるような気持ちで泣いた。きっと、何かを理解していたと思う。言葉には出来ない、入口も出口もない感情の渦のなかで二人か抱えたものに、とても共感したと思う。でもそれを説明できない（ばかだから）。
リリーとして生きたいと願いながら、君のためにアイナーになりたいアイナーでいられたら、と願う気持ちだって、きっとあったと思うんですよ。君が望むような幸せをあげたいって、思っていたと思うんですよ。
最後の手術の前夜の涙は、そういう、ゲルダへの、彼女の夫を葬ることや、それをして後悔のないことへの罪の意識なのかな、と思った。ごめん、と言えないけれど、そう言う気持ちはきっとあったし、彼女がそれを乗り越えて自分に愛を向けてくれていることへの申し訳なさって、人間だったら当然持っていると思うもの。
すごい映画だった。

とにかくゲルダすごい。

ようやく。
すこしまえに地球での話を見終わった時点で、あまりに胸糞だったのでちょっと毒にあたった感じで休んでたんだけど、昨日、ラストまで一気に。
鉄血。兵器と人血。孤児たち。そういうドラマで、タイトル通り一貫していたな、というのが、ラストまで見ての実感。

そして結論として、私はバルバトスと三日月のコンビが最高に格好良くて好きだという結論に達しました。
何かを目指して戦い続けて、どこかへたどり着こうとしてあがいて、道半ばで斃れた子供たちの物語だった。表面上は。
世界の中の、ごく一部の視点。大きな歴史の中の、小さないくつかの戦いを描くのに、そのなかにいた鉄華団という集団を主人公に選んだというような。
オルガが動かなければ、ミカがいなければ、オルガとミカが出会わなければ生まれなかった物語なので、彼らが主人公なわけだけど、その生まれから死までを描いた物語なのだと思えば、すごくすっきり収まっていると思います。その死にざまについての意見とかは、まああるんでしょうけど、こうだと描かれている以上、こうなので。

それにしても、最後の三日月の、こんなとこで止まりたくねえだろって台詞と、それにこたえるバルバトスがほんとうにたまんなかった。あの牙をむく感じ。
三日月はもうバルバトスと一体化していて、あの期待の中でしか自由に呼吸ができない状態で、つまりバルバトスになっていたんだけど。
すこし前の日記にも書いているけど、私は呼びかけに応えるかたちで力を拡大するガンダムという状態がすごく好きで、バルバトスはその中でも大分異端だとはおもうのだけど、でもこれ、すごく好きだと思いました。
力を拡大させるということには、力を貸す、とか、引き出す、とか、あくまでマシンの中に眠る大きな力がまずあるわけだけども、バルバトスと三日月の場合、バルバトスに頼んでない、と言うのが新鮮。命令してる。くれ、じゃなくて、よこせ、なとことか。一体化してる。

私の好きなファンタジー小説の、ファーシーアの一族では、主人公と狼が絆を結んでいて、主人公が体を痛めつけられて牢に入れられ、死体にならなければもはや出られないとなった時、主人公が仮死状態になる薬を飲んでオオカミの体の中に魂を移し、運び出される、というシーンがあるんだけど、なんかそれを思い出した。その中で主人公は、痛めつけられ、毒による発作でままならない体を飛び出して、オオカミになって平原を駆けるの。その自由。何物にもとらわれない、単純な暮らしの幸福。そういうのがなんか、重なった。
三日月の魂はバルバトスという体を動かすものになってて、バルバトスは、魂の呼びかけに答えて動き続けるの。
生まれたときの記憶を見て、そうだな、と納得した三日月は、あのときはっきりとそこで死ぬことを決めたんだと思うんだけど、バルバトスが最後まで一緒にいてくれて、三日月の思いに最大限に応えきってくれたことが、ほんとうに、悲しいけど、よかった、と思った。三日月は、バルバトスと出会えてよかったと思う。

ラストは穏やかな、すこし未来の話で。あの時あそこで命を張った彼らの、その結果がこれなんだな、と思った時、わるくねえなって天国で笑い合ってる彼らの姿が見える気がした。彼らが求めていたものは、こんな普通の世界での暮らしだったのだし、彼らの力ではなかったにせよ、彼らの存在なくしてはあり得なかった世界ではあるように思うから。
それでも、名瀬さんが生きていてくれたら、もう少し違う道もあっただろうなあ、とは思うよね。
オルガは頑張ったよ。ホントに頑張ったと思う。彼の死の場面も、私は別に面白く茶化す気にはならないな。十分格好良かったと思います。その可能性をまったく考えていなかったんだとしたら、それはちょっと甘かったね、とは思うけれども。

マクギリスはかわいそうだったね。どうしてもあそこから逃れられなかったのはもう、仕方がないと思う。すべてを忘れて安穏とした幸せに浸かることに耐えられなかったなら、もう目指すものは一つきりだ。でも、あまりに短絡的で、子供の妄想の域を出ていなかったという気がするけど。
まあそれでも、ガエリオに殺されるのは、彼にとっては最良だったんじゃないかな。

いろいろあるけどまとまらない。
あとそうそう。バナナフィッシュ読みかえし終わったばかりなので、めっちゃアッシュと重なったりもしたわ。自由を勝ち取るために戦って死んだところも、その自由というのが、あまりにささやかな、家族という名の仲間と思いっきり馬鹿笑いしたい、みたいなものだったこととか。結局人間の幸福って、そこにあるのかもしれないね。という事も感じさせられましたね。

またすっかり日記を書いておりません。習慣から抜けきってしまったなあ…だめだ。

夏コミ後、インテは前日京都に入って、瓢亭の朝がゆを食べに行きました。おいしかった。高速バスで寝ていった体に染みわたる感じの…体に優しくてとても良いものを食べたという気持ちになった。
そのあと嵐山に行って、いくつかお寺を回りました。どこもかしこも夏らしい鮮やかな緑で、本当に良い時期に出かけたなあと思いました。秋の紅葉も絶対に素敵だと思うけど、夏の緑が本当に好きだ。祇王寺がすごかった。地面の苔が素晴らしいゆえの全面緑で視界が緑の靄がかかったみたいになってけぶっていた。
インテのあとはねぎ焼を食べに行ったりしてとても楽しかったです。
それから、なんだろうな。ひたすら映画を見ていたかな。
インテ後の2日間夏休みを無駄に使ってぼーっと過ごしたんですけども、西荻窪にかき氷を食べに行っ……たら休みだったんだそうだそうだ。そんで友達の家で少しドラクエをして、スパイダーマンを観にいった。のを皮ぎりに、この一ヶ月寂はたくさん映画を見た。思い出しつつ列挙してみる。

・スパイダーマンホームカミング
・ベイビードライバー
・セルゲイ・ポルーニン
・ワンダーウーマン
・機動戦士ガンダム　ジ・オリジン　ルウム会戦
・トランスフォーマー　最後の騎士王
・新　感染
・ダンケルク
・阿修羅少女

こんなもんかな……抜けがあるかもだけど。

スターチャンネルせっかくあるしってテレビでもちょいちょい見てるからこの一ヶ月はとにかくたくさん見ている。
阿修羅少女はね、ひどかったです。監督？脚本？なにがだめなの？？ぜんぶかな？みたいな。
でも郷本さんはとっても良かったよ。
阿修羅少女の数日後にダンケルクを見たので、予算云々もあるかもだけど、まあ監督だな、と私は思った。こうだろ！？って思った。無駄な説明は一切省いているのに、見ている人を巻き込んでいく映像の力強さよ……。クリストファー・ノーランの映画って意識して観てみたことなかったけど、いろいろ見てみようと思ったもの…。
かき氷はこの間リベンジした。美味しかったのでまた食べにいきたい。

そんなこんなで、最近はあと、原稿をまとめる作業をしてました。スパークで久々に再録本を出そうと思って。
なんで出そうと思ったかというと、夏の本がもうなくなってしまって、5月の本もあと2冊とかで、机に置くものがなくなってしまったからだよ！
そんあこともあり、まあ頃合いかな、と思ったので。
212ページは前回の本と同じなので、頒布価格もおそらく同様になると思います。ちょっと高いです。すみません。

続きに拍手お返事。

いつぶりの日記かっていう話ですよ。

この三連休は鎌倉と箱根に旅行に行きました。家族で。
小さいころからほとんど家族で旅行などしたことのない家だったので、二泊で出かけるなんて初めてだった。この年で。というか、この年になるとじつはこれができる方が珍しい気もするな。という、両親と妹弟との旅行だからね…。
まあ楽しかったです。弟が全部運転して大変だったけど。宿は鎌倉も箱根もよかった。鎌倉はなかなか止まるところが少なくて、webaseっていうあたらしいホステルに泊ったんだけど、こことてもよかったよ。きれいだったし、2月の時点で抑えていた2室しかない洋室のファミリールームは、キッチンや冷蔵庫もあって、小さい子供のいるご家族にはいいんじゃないかな。お風呂もこの部屋にはついていた。大浴場使ったけど。
箱根ははじめての湯本富士屋ホテル。大きいホテルの安心感みたいなのってやっぱりあるなー。アクセス的な利便性も抜群だしね。
止まった翌朝は8時にチェックアウトして登山電車に乗ったんだけど、8時半ならまだぎりぎり余裕がある。9時の動き出しだと多分もうすごく混んでた。アジサイは、上のほうはまだまだ見ごろで、とてもきれいだった。

ところで、いろいろあってゲースロにはまってるんだけど、昨日からS7が始まりまして。
せっかくなので全部終わってから一気見したいし、オンデマもあるけど見れなくなる日は来るはずだからしばらく取っておきたいなーと思って、容量確保のためにやっとユニコーンを見終わった。
残り4話まではきていて、まあ、収束へ向かっていくあたりだったので、悲しい気持ちもたくさん味わったし泣きましたよね。
小説は読んでいたので大体の種明かしや結末的なことはわかっていたんだけど、フル・フロンタルをああいう演出で……死ぬときにシャアの魂が抜けるみたいな描き方がされていて、えええってなりましたね…。
時を見せるシーンとかもねえ、……逆シャアとか、エルメスのあのシーンとか……ビギニングがアレンジで流れるあたりとかもう、あれは反則ですよ……ちょっとつらかったです。まあ泣きましたよね当然。語弊があるかな。嫌とかそういうんじゃなくて、こういうとこでこういうふうに、という、ちょっとした衝撃というか。過去にされてしまった、という悲しみかもしれない。新しい世代を描くってのはそういうことなんだってわかってるけど。
ソーラレイを止めることが出来るなんて凄すぎだよ……。
ユニコーンは戦争ではなくて、宝物争奪戦というか、バナージが様々な横やりや思惑を一つ一つクリアしながら誘導に従って目的にたどり着くというロールプレイングだったわけで、だからだろうけど、人間的な感情のやりとりみたいなのは浅めだったなって実感。戦争が深いとは言いたくないけど、もっと我や欲が前面に出てくるし、いのちのやり取りがシンプルになるぶん、全部がストレートなのよね。理屈なんてどうでもよくなる。
でもユニコーンはどっちかって言うと理屈を描いたドラマなので……けどまあわたしはニュータイプ信者でもあるので、シャアが目指したなにかのなかの、ひとつでも、彼らに託せたと思ってくれていたら……だったらいいなあ、という気持ちです。もう本当にやり残したことや思い残したことはなくなって、魂だけの世界で3人で遊んでるんだったらいい……。

フル・フロンタルは器としての存在といっていたけど、それはつまり、仮にとはいえシャアの魂が宿っていたという解釈でいいんだなとおもったので。そういう演出だったので。ただのクローンではなかったんだな、と。

ビギニングを探していてうっかり見てしまった。イントロでもうだめだし泣ける。
ビギニングはこっち。

どっちもガンダムには欠かせないし、この二曲と映像のはまり具合ホント……すごい。そして映像を見ながら台詞が頭を流れる。私にとってそんなアニメはやっぱりファーストだけだなあ……。

ユニコーンを見ていて、すごく思ったことがあったのでそれを次の日記に書く。

立川で見てきた。シネマシチズンだから、
立川は平日千円なので、交通費賭けてもまあ、水曜以外に見るならちょっとお得。

ムーンライトは、アカデミー賞でやっと作品名を知ったというくらいで、以降もとくに情報を入れていなかったので、半自伝ということは見終わってから知った。
内容に触れるかも知れないので、以下は見る予定の方は読まない方がいいかも。

観終わって最初に抱いたのは、優しさを描いたお話だったな～という感想だった。でもその優しさっていうのは、人を救う強い優しさの真逆のものだ。シャロンの暮らすマイアミという土地は、そういう優しさが弱さになってしまうところ。
そして、弱い人が生きていくのはとても大変な土地なんだろうなと思った。
シャロンは内向的で、華奢で、争い事を好まない優しい子だ。気弱なくらいの。
そして、男の子たちにはそのほかに何か感じるところがあったのかわからないけれど、あきらかに、男らしくない、という理由でいじめにあっている。

はじめは、父親のような雰囲気でシャロンに接する売人とのかかわり。このねーー、ここだろうなって思ったんだけど、小さいシャロンにフアンが、仕事について問われて、それを肯定するところの、あそこの演技がもう、釘付けだった。横顔、目線、唇の震え。子供の前でこれを肯定するのはつらい。自分が彼から慕われていて、それを喜びと感じている人にとって、その子の前にそれに値しない自分をさらけ出す。どれほどの恐怖だろうと思う。
シャロンにはそれも全部伝わっている。海のシーンもすごくよかったけど、私はあのシーンがとっても印象に残ってる。

次。小さいころからずっといじめにあいつづけたシャロンは高校生になって、数年後の母親は後戻りできないほどの薬物中毒になっている。
その母親との間にとある事件があって、そのことでシャロンは、ものすごい絶望を味わうことになる。あの絶望はなんといったらいいのか。
家に帰っても母親はもはやかつての母親ではなく、そのことで自分がつらい思いをすることは目に見えているし、母親のことも見たくないし、母親が自分にひどいことを言ったりしたりするのも見たくないし、とにかく、あの時のシャロンの絶望はとっても深かったんだと私は思う。
そして彼は電車を乗り継いで、歩いて、浜辺に行く。
この辺わかりにくかったんだけど、幼馴染のケヴィンの家がこの辺りなんだろうか。とにかく。浜辺に座っているシャロンの所に、ケヴィンがやってくる。
ケヴィンがこの時シャロンに与えたものは、くたくたになっていまにも倒れこみそうになっている心を温める熱だったのだと思う。シャロンはケヴィンにたしかに恋情を抱いてはいるのだけど、ケヴィンは、セクシャルなことへの垣根の低いタイプの人で、そして、そういう人にとってこれがいたわりになるということを知っていたんじゃないかなって。
泣きすぎて自分が水滴になりそうだって、そんなふうにシャロンが言った直後に、それははじまるので。なので、そういういたわりが、男の子の友情の派生として描かれているのかなと思いました。ケヴィンはゲイじゃないし、シャロンに恋心を抱いてもいないけど、女の子との駆け引きとは全く違うところで求められていると感じたとき、自分を与えてくれる人だったんだと思う。

しかしとある事故が起きて、弱いままでいることに終止符を打つシャロンは、結局その場から去らなければいけなくなって。

最後に出てくるシャロンは、もうマイアミにはおらず、ジョージアで麻薬の売人になっている。少年院から出てきて、そこで知り合った仲間から紹介されたこの仕事でのし上がってきたんだ、と語ってる。
誰にかというと、ケヴィンに。

ケヴィンはかつての街でコックになっている。数年ぶりに電話をかけてきたケヴィンが誘ってくれたので、シャロンは彼の店にご飯を食べに行く。

これは私の妄想だけれども、同情と友愛による接触の記憶は、ケヴィンのなかで、時間をかけてどんどん大きく鳴っていったんじゃないかな。
合わない間に、シャロンのことを、どうしても忘れられなくなってしまったんじゃないのかな。
シャロンは体を鍛え上げてとてもちっぱな体つきになっていて、ちょっとそのようすに、どうしよう、みたいな顔で笑うシーンがあるんだけど、あれはもしかして、かつてのシャロンでいくらか妄想してきた結果なんじゃないかなって。
ケヴィンの前に立つシャロンは、知らなければいかつい黒人男性なのだけれど、やっぱりあの頃と同じく、うつむいて、小さな声で口数少なくしゃべったりする。そうして、あれ以来自分には誰も触れていない、なんて言う。
どうしたらいいかわからなくなるよね。

私は見終わって、これは、たとえば50歳目前くらいの、闇の世界で荒事で名をはせるシャロンという人が存在するとして、そのひとの、知られざる過去の話として考えてみたらすごく腑に落ちたんですよね。
そうしなければ生きていけなかった、その生き方しか残されていなかった人。でもその人は気弱で優しくて、おさない恋心を大事に持ち続けて、月夜の浜辺の光景を胸の内に抱えて生きている。実際に現在のシャロンの目の前にいる人たちは誰一人として知らない、シャロンの物語。
シャロンという外殻がお話の外側にあって、その内側というか、裏側を描いた物語なんだな、と思ったのです。うまくいえないな……本筋はこの映画には描かれていないんだと思う。だから詳細はいっさいでない。すべて曖昧で、余白は余白のまま、無駄なモノローグなどは一切ない。
だからフアンの死にざまなんかには一切触れない。母親の日常や、とにかくそういう詳細は、シャロンの印象の外側にあることだから、曖昧なんだと思う。ひたすら、シャロンの感じていた悲しみや恐怖や、やりきれなさみたいなものがずっと画面に漂っていて、そこに、強烈に焼き付いた印象的な出来事が、ぼ、ぼ、と時折炎を強めるような、そんな展開の仕方。だから、炎が強まるとき以外はずっとゆらゆらと消え③ルカ消えないかの炎が揺らぎ続けている感じ。そのぶぶんがすべて、余白になっている。

ラストシーンはとてもよかった。シャロンが少しでも癒されてくれていることを願うし、シャロンを受け入れることで、ケヴィンも癒されているのです。

一人の人間の、ただ、その人間を描いた、という物語だったと思う。
いい映画だった。

今日は、前にテレビでやっていたときに、そういえば機会がなくて見損なっているな～と思って録画したまま放置していたベルリン天使の詩をみたんだけど、とくに特別んな感情はわかなかった。
私は、エンタメとまではいかない作品でも、もうちょっとアクティブに話の動く方が好きだな～と思うんだけど、こういった文芸みを帯びたファンタジーに対応できないとき、もうワンランク上の高尚ぽいものを理解できない頭ってことなのかなーと残念な気持ちも、一方では湧きます。
ベルリン～に関しては、どこの、なにが幸せなのかわからなかった。
なぜ、ブランコ乗りの彼女がすぐに彼を受け入れることができたのかも、ちょっとわからなかった。時々感じていた大丈夫、という感覚を彼から感じたから？ラストはめでたしめでたしだったけど、そこはストーリーの流れの最終地点としてはそこまで重要なものじゃなくて、結局この映画は、そこまでに語られていた観念的なもの、映画の中を流れている無力感みたいなものとか、永遠をいきるものから見た終わりある個々とか、それを写し取る天使たちの視点みたいなものとか、が軸にあるのかなあという気もした。
私はストーリーのある話が好きだし、起承転結をドラマティックに描いた物語が好きだし、それを見t3江笑ったり泣いたりするのが好きなので、とにかくエンタメがやっぱり好きなのよね。
その割に書いてるものはちっともエンタメじゃないな、と残念な気持ち。面白いお話が書きたいって、思っているんですこれでも。

さっきチャラと村田紗耶香氏のスイッチを見て（最後のほうちょっとだけだけど）、村田さんが「物語の奴隷である」って言葉を言っていて、これ以前にもどこかで目にした気はするんだけど、この気持ちを持っていないとハードなお話ってなかなか書けない気がする。
二次には「ハッピーエンド至上」みたいな感覚がわりとメインストリームとしてあるし、読み手もそうだと思うけど、書き手もそうだよね。自分が愛を感じているキャラクターをつらい目に合わせるのには精神力がいる。
あと、二次ってやっぱり、自分のキャラクターじゃない以上、それを愛しているたくさんの人がいるという前提を忘れるのは難しい。やっぱり、どこかで線引きした方が健全だなって思う。
二次創作であっても自分の考えを表現する感覚の強い人にはこういうの関係ないと思うんだけど、私はあるほう。
でも、物語の進みたい方向があって、それをどうしても捻じ曲げられない、と思ったら、たぶんやっちゃうだろうなーという、そういう感覚って、ちょっとはあるよ。捻じ曲げざるを得なくても、極力、承服できないものにはしない。そうしないと、書き上げられないとおもったら、そうするなー。
だから、つまんないかなこれ、とか、もっとラブくしないとだめじゃないかなこれ、とか思っても、そういう話だなと思ったら、つまんなく終わってしまうこともある。
ラストを決めて書き始めないっていうのにはこれがたぶんあるんだなー。書いてみないとこのお話がどう終わるのか自分でもわからない、みたいなのあるよね。
キャラの気持ちを追いかけて書く書き方をすることが多いからだと思う。

ここまで書いていて、ベルリン～がしっくりこなかった理由がなんとなくわかってきた気がする。

トムアットザファームを見たんだけどめっちゃ怖い。
怖い。
ネタバレします。

私はこうした暴力と執着の物語に愛を見出すことはわりと出来ないタイプなので、ずっとトム逃げてって思いながら映画を見る羽目になって結構しんどかった。
グザヴィエ・ドランのインタビューが特典映像として入っていたので見たんだけれど、ずばりストックホルム症候群と言ってて、あ～ってなった。
ゲイの恋人をなくしたトムは空っぽになって、悲しみに暮れて、自分を無価値な人間だと思い込んだ状態で彼の故郷に葬儀にやってくるんですね。まあそこで、そこから、どうしてだか出られなくなってしまうんだけども、物理的に精神的にも閉じ込められてしまうんだ。足枷がついているわけでも鍵をかけられているわけでもないけれど。
フランシスは暴力的で依存度の高いかなり性格的に難のある人間で、でも、それに引きずられるトムにも、難はあるんだろう。そして、フランシスの弟であり、彼の恋人であったギョームは16で家を出てほとんど戻らず、25歳で事故で亡くなっている。そこは明らかにされていなくて、でも誰にも本当のところはわからない。フランシスはトムをビッチと呼んだけれど、のちに恋人のふりを請われて訪れたサラはトムにぎょーむと寝たことを告げているし、何回寝たのかと聞くトムに、知っているでしょう彼は誰とでも寝た、と。たぶん少しだけ哀れみをこめて伝えてる。
想像だけれど、フランシスもまた、ぎょーむになにがしかの嘘をつかれていたんじゃないだろうか。それによって壊れてしまった部分があったんじゃないだろうか。ギョームが書き残したノートがあって、それは家に残っていることをフランシスは知らなかったのだけれど、彼が旅立つ前に母親に託していったものなのだという。おそらく内容は、9年以上前に酒場であったことは、これに類することなんだと思うけど……。
街に戻ったトムは、後ろ髪をひかれつつも彼の世界へと戻っていく。でもその姿は最後まで危うくて、いつフランシスが現れるのか、どこでトムがハンドルを切ってしまうのかとさいごまでひやひやしました。
強制されること。暴力。閉塞感。とにかく息苦しい物語だった。季節柄そうなのかもしれないけど晴れわたった青空を見た記憶がない。ずっと曇っていた。白くて、遠くが見えなくて、周囲には何もない。言葉はいつも薄闇の中で交わされていて、この夜に何かが起きてしまうんじゃないかとどきどきした。

そんなこんな。

拍手ありがとうございます。